「お前の髪、随分のびたな。
 また、前みたいに1つに括るか?」

「クスクス。
 お前、前にもオンナジこと聞いたぞ?」

「そうだったかな?」

「ああ。
 1つに括った方が、いいか?」

「別に、そういうわけじゃないが・・・」

「そうだな・・・
 お前もあの時みたいに高く結い上げるのなら、
 俺も括ろうかな・・・」

「わ・・・わたしは、2度と女の格好はせんぞっ!」

「女の格好、イヤか?」

「ああ、もう、ドレスはコリゴリだっ!」

「別に、ドレスを着るだけが
 女の格好じゃないぞ」

「はぁっ?」

「男の服を脱げばいいさ」

「・・・・・・・・・・・・・っ!!!」
「いっ。。。痛いっっ! 髪の毛、引っ張るなっっ!
 抜けるーーーーーーーーっ!」

「あはは!ヘンなこと言うからだ! 坊主にしてやるっ」

「お前っっ、俺がハゲたら、どうしてくれるっ!」

「カツラをプレゼントするっていっただろ?
 あはは!父上みたいなのを買ってやる!」

「お前ね、人の不幸を幸せそうに言うのはやめないか?」

「あははははは!!!
 幸せだよ、アンドレ。わたしは幸せモノだ。
 お前とずっと一緒で。。。これからもずっと一緒で。
 ずっと・ずっと一緒だ。な?アンドレ」

「ああ。おばあちゃんみたいになっても愛しているよ」

「・・・ばあやみたいにか?
 ・・・少々複雑だな。。。」



あの時、絶望的に残酷に響いた言葉が、
今、俺の腕の中で、やらわかく聞こえる。
やわらかい。
女の格好なんて、一生しなくったっていいさ。こうやって抱きしめることができるなら。

ま、女の格好してもらったって、もう、あまり見えないんだがな。

オスカル。
いつまで、こうやっていられるのだろう。



「あの。。。な、アンドレ」

「ん?」

「あのな、お・・・終わったんだ」

「ん??」

「・・・いや、なんでもない」

「ヘンなお姫様」


月の光がさえぎられたとおもったら、
姫のやわらかい唇がおりてきた。



1789年7月3日


                     
         
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